銀棺の一角獣
 彼の折れた角は完全に戻っていた。真っ白な角は、まっすぐに彼の額から天を目指して伸びている。

 それ以外はどこが変わったのか、アルティナにはよくわからなかったけれど、毛並みも全体的につやつやしているように見えた。


「剣はどうした?」


 開口一番、ティレルはたずねた。


「……ここに」


 ルドヴィクはティレルに向かって剣を差し出す。ティレルはその剣を地面に置くようにとルドヴィクに指示した。ルドヴィクは指示された場所にその剣を置く。


「アルティナ。その剣に手をかざせ」


 アルティナは膝をついた。指示されたように剣に両手をかざす。ゆっくりとティレルはルドヴィクをふり返った。


「もう一度アルティナにやらせるのは気の毒だからな。すまんが、俺の前足をお前の短剣で少し切ってもらえないか」

「前足、ですか」


 ルドヴィクはアルティナの目から見れば、恐ろしいほど冷静だった。ティレルの前にためらうことなく膝をつき、左足を自分の膝の上に載せる。
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