銀棺の一角獣
「ねえ、いつまでもとどまってくれてもいいのよ? あなたに感謝して――毎日水浴びさせてあげてもいいわ」

「やめてくれ。森に帰れなくなる」


 心底困った表情をティレルがするので――アルティナは久しぶりにはしゃいだ声をあげて、彼の首に抱きついた。


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 その夜は、見張りの兵士をのぞき、皆よく休むようにと通達を出した。ライオールが到着した今、決着をつけるしかないのだ。

 アルティナは王宮の酒蔵を空にして、全ての兵士たちに一杯ずつワインを振る舞った。食糧倉庫も空にされた。

 アルティナ自身は、ごく軽く夕食をすませただけで自室に入る。湯殿に入る気にはなれなくて、そのまま寝る支度を調えさせた。


「ティレル……あなたは眠れているのかしら?」


 テラスに出て、四阿の方に目をやる。そこには月のごくわずかな光でもきらきらと輝く一角獣の姿があった。
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