銀棺の一角獣
 嫌な冷たい汗が全身を流れ落ちた。喉がからからになって、言葉が喉に張り付く。


「ごめんね。でも、こうするしかないんだ」


 キーランは微笑んだ。それはアルティナが好きな柔らかな微笑みで――衰弱しきった顔に浮かんだその微笑みに胸が締め付けられる。


「……だめ、お願い……」


 もっと言葉を尽くして彼を説得しなければならないのに。こわばった口は動いてくれなくて。



「儀式の間、何度も魔に接しているうちに、僕もやつを取り込んでしまったんだ。やつの一部を、ね――だから」


 迷うことなくキーランは胸に短刀を突き出した。それから滑らかな動作でそれを引き抜く。


「キーラン様っ!」


 アルティナの悲鳴が響く。
 その場に倒れた彼は、ぴくりとも動こうとはしなかった。
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