銀棺の一角獣
「彼には見えているの? わたしたちがどこにいるのか」

「おそらく表情の一つ一つまで見えているだろうな」

「表情の一つ一つまで?」


 キーランの問いにティレルが肯定の返事を返すと、彼の表情が一気に明るくなった。


「それならまだ、手はあるよ――きっと……ずっと儀式に参加していて思ったんだ。僕もあいつに喰われつつあるってね」


 だから、とそこで言葉をとめてしまった彼は、大声を張り上げた。


「父上――! 終わりにしましょう! 全てを!」


 彼が何をしようとしているのかわからなかった。アルティナの目の前で、刃が煌めく。どこから取り出したのか、彼は短刀を手に握っていた。


「キーラン様……何を……」


 アルティナはそう言うのがせいぜいだった。キーランを止めなければならないのに、身体が動かない。
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