銀棺の一角獣
 足早に廊下を進んで、アルティナは会談の場に設定した小広間に入った。自分の目で部屋の支度を確認する。

 豪華に装ったところで、ライオールの目には粗末に映るのはしかたのないところだろう。こんなところで虚勢を張ってもしかたない。

 長いテーブルが部屋の中央に一つ。並べられた椅子は精緻な刺繍を施した布張りのもの。部屋の片方の壁際には、鎧を脱ぎ、急いで正装に着替えた騎士たちが何人か控えていた。

 その中にルドヴィクの姿を認めて、アルティナは彼の近くへと寄る。


「あなたは休んでいればいいのに――大変だったのでしょう?」

「アルティナ様ほどではありません。どうか、この場にとどまることをお許しください」

「許すも、許さないもないわ。あなたがいてくれれば、心強いもの」
< 288 / 381 >

この作品をシェア

pagetop