銀棺の一角獣
 ティレルは機嫌がよかった。尾をぱたぱたと振って、アルティナの側に寄り添うようにして立つ。


「ねえ、ティレル」


 小声でアルティナはたずねた。


「あなたは……もう行ってしまうの?」

「さて、どうするかな。しばらくの間、ここにとどまるのも楽しそうだ。新鮮な林檎がもらえるんだろ?」

「王宮の果樹園全ての林檎を、ね」


 アルティナはティレルの首に手を置いた。彼がいなくなると思うと――やはり寂しい。


「陛下。ディレイニー国王がお見えになりました」

「お待ちしておりました。どうぞ、おかけになってください」


 鎧を脱いだライオールは、以前よりだいぶ痩せたように見えた。驚くほど肩が薄くなっている。


「気分はすっきりしたか?」


 向き合うなり、ティレルがたずねた。ライオールはのろのろと一角獣に視線をやり、ゆっくりとうなずく。
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