銀棺の一角獣
 それから三日、ティレルのいる庭園にテーブルと椅子を持ち出して昼食会が開かれている。

 参加しているのは、アルティナとデイン、それにキーランだった。ライオールは、条約の取り決めが終わった後一足早く帰国していた。


「でもさあ、きっと僕も長生きできないよね」


 ふいにキーランが言った。焼いた鶏肉を切り分けようとしていたアルティナの手が止まる。

 ティレルが鼻で笑った。


「安心しろ。おまえの体はそれほど蝕まれてるわけじゃない――確かに長生きはしないだろうが、孫の顔を見るくらいまでは生きていられるはずだぞ」

「五十? 六十?」

「六十」

「それならまあ許容範囲だよねぇ――こんなに疲れるまで頑張ったんだから」


 キーランは少し変わった、とアルティナは思った。穏やかな雰囲気は変わらないのだけれど、そこに一本芯の通った強さのようなものを感じる。

 きっとアルティナ自身も変わった。それがいい変化であれ悪い変化であれ――受け入れるしかないだろう。
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