銀棺の一角獣
それぞれの道を
 ティレルがアルティナを振り返る。


「ルドヴィクはどうした?」

「出立の準備を……ミラールたちの迎えに、何人かやろうと思って」


 ミラールからの書簡には、もう少しで動けるようになりそうなので、そうなったら戻ると書いてあった。

 戦争のために治安も悪くなっていて、道中盗賊などに襲われる可能性も高い。そのためにアルティナは、護衛の兵士を村に大来ることを決めていた。


「いいのか?」

「何が?」


 ティレルが何を意味しているのかわからなくてアルティナは首をかしげる。いや、というようにティレルは顔を左右に振って、自分の目の前に積み上げられている果物に戻った。


「戻ってくるまでどのくらい?」

「そうですね、二週間ほどでしょうか――デイン、どのくらいかかる?」
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