銀棺の一角獣
 結婚にあたって、彼からもちょっとした贈り物が届けられた。

 最後の戦いの時、ルドヴィクの手に握られていた銀の剣――リンドロウムの森から持ち出されたあれは、いつの間にかティレルがどこかに隠してしまっていた。


「もう必要ありませんし、あれはお借りしていただけです。もとはティレル殿のものだったのですから――」


 と、ルドヴィクは気にしていなかったのだけれど。


「一度森に戻して、打ち直してもらった。この国の守りに使え。何ならあの美術室に置いておけばいい」


 結婚式の前日、アルティナとルドヴィクの前にティレル自ら届けた銀の剣は、金の鞘におさめられて美しく輝いていた。
< 348 / 381 >

この作品をシェア

pagetop