銀棺の一角獣
 選んだのは、白に金と銀で刺繍を施した衣装だった。昨夜と違い、全体的に細身に仕立ててある。スカートの裾は長く後ろに引いているものの、体の線に沿って流れ落ちていた。

 全体的に編み込みを作りながら髪を複雑な形に結い上げ、ティアラを載せて、いくつもの宝石で身を飾る。


「今日もお綺麗ですねぇ」


 誉めてくれるケイシーの口調には、嫌みなところなど何もない。根が素直なのだろう。どういう育ちをすればそういられるのだろうかと、アルティナはケイシーを羨ましく思わないわけにはいかなかった。

 アルティナが朝食をとり、身支度を調えている間、隣室には国から従ってきた近衛の騎士たちが控えていた。

 彼らの居室はアルティナの部屋とは別棟に用意されている。逃亡を警戒しているのかもしれなかった。

「おはようございます。アルティナ様」


 彼らを代表して頭を下げたのは、ルドヴィクだった。彼の先輩騎士もこの場には居合わせているのだけれど、誰もそれを咎めようとはしない。
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