銀棺の一角獣
「……わかりました」


 やれるだけはやってみよう、とアルティナは思う。ここから出ることができるならば。


「やってみます」


 どうせ食欲なんてない。


「キーラン様……ライディーアの騎士たちのことを……お願いしてもよろしいでしょうか?」


 頼ることができるのは、今はキーランだけだ。他にすがる相手も思いつかなくて、アルティナは彼にすがる。


「そちらは大丈夫」


 小さく笑ってキーランは言った。


「医師を派遣して手当させてある。全員命に別状はないようだ」

「……よかった」


 少なくとも何人かは助かった、ということだけはよかった。

 それから三日の間、アルティナは出された食事にも水にも手をつけることはなかった。
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