銀棺の一角獣
 霧散して消えた一角獣――どこにいったのかさえアルティナにはわからない。ライオールが、なぜ一角獣をもとめていたのかも。


「……アルティナ。出してあげたいけれど、それはできないんだ」


 小さな声で、キーランがアルティナを呼んだ。それから小さな声のまま、彼は続けた。

「君、しばらく食事を我慢できる?」


 キーランの真意がわからなくて、アルティナはのろのろと立ち上がった。そして、窓越しにキーランを見つめる。


「頼んではみたけれど、父は君を出すつもりはない……少なくとも今のところは。こうやって君に会いに来るのも本当はまずい状況だ」

「……だから?」

「君が病気になれば、父だってほっておくわけにはいかないはずだ。君にやらせたいことがある間は、死なれるのは困るはずだからね。病気になればなんとか出してあげられるかもしれない」
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