銀棺の一角獣
 目を覚ました時には、だいぶ元気を取り戻していた。部屋の中は暗い。


「お目覚めですか? もう、何があったのかわたしにもわからなくて」


 部屋の隅に控えていたケイシーが、明かりをつける。それから彼女は、アルティナに近づいてきた。額に手を当てて、熱を測る。


「うん、お熱も下がってますね。何か召し上がりますか?」


 アルティナは胃に手をやった。確かに空腹を感じている。


「そうね。何か軽いものをもらえるかしら?」

「かしこまりました」


 ケイシーは下がっていくと、温かなお粥を持って戻ってくる。アルティナは用心深くそれを口にした。

 温かくて、口にすると気持ちまでほぐれてくる。


「キーラン様はどうしたのかしら?」

「隣の部屋においでですよ」


 ケイシーは隣の部屋へと続く扉の方をしめした。


「ここも隣も殿下の私室ですから」

「……そう。お会いできるかしら?」

「確認してきますね。その間に、お食事をどうぞ」


 ケイシーは廊下に出ると、キーランに仕える従僕の控えの間へと向かった。
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