銀棺の一角獣
 けれど、できる限りのことをしなければ。彼女のうかつな言葉が民を苦しめることになるのかもしれない――それを予感しながら、アルティナはライオールの怒りを買わないですみそうな言葉を探した。


「確かに、いずれは――と誓い合った相手がいなかったと言えば嘘になります。けれど、それはわたしが世継ぎでも女王でもなかった時の話です。今のわたしは女王ですから――」


 ライオールは沈黙を続けている。彼が何を考えているのかはわからなかったけれど、アルティナは自分が最適だと思う回答を口にするしかなかった。


「今の我が国はライオール陛下、あなたにおすがりしなければ外敵から民を守ることもできないのです。民を守るためにできるだけのことはするつもりです。そのために銀の棺を差し出したのですから」


 それからアルティナは微笑んだ。


「キーラン様はたいそうお優しくしてくださいました。わたしは――キーラン様にふさわしくありたいのです。ですから……伝承を受け継いだら、全てお話しするとお約束いたします」
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