サファイヤアンドロイドの夢
最初、その癖を知らなかった私は、彼の靴を散々探し回ったものだ。
それを知ってからは、ライラと夜を過ごし、朝礼の時間になっても起きて来ない彼の支度を手伝う為、部屋を訪れた時、私は難なく彼の靴を見つけ、きちんと揃えて彼の足元に置くことが出来た。

そうだ。
誰も知らないはずだ。
ライラすら、知らないだろう。
知っているのは、私と、そしてMr.Dだけ。

……そんな……馬鹿な……。

「何ぼんやりしてるんだよ。本部に行くんだろ?行くぞ。」

今日、群衆の前で処刑されるはずの男は、
私の手を引いて部屋を出た。
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