サファイヤアンドロイドの夢
真実
いつもは厳重な街の入り口の警備も、午前8時の放送とともにパニックの餌食となった。
街に一歩入った途端、人間共の地球消滅計画反対のデモ行進に出くわした。
今さら何をやっても無駄なことは、彼らが一番よくわかっているはずなのに。
暫く歩くと、大きなトランクを抱えシャトルステーションに向かう家族連れとぶつかった。
すいません、と謝った母親は、子供達を嬉しそうに急かす。


「さ、早く行きましょう。」


「ねえママ、火星には森があるって本当?」


「ええ。本当よ、行きましょう。」
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