サファイヤアンドロイドの夢
親子は私に会釈をすると、再び歩き出す。
街頭ビジョンから国営放送のアナウンスが街中に響く。

終わりだ。
この惑星が終わるのだ。

自ら育んで来た人間と言う子供に、撃ち殺されるのだ。

街頭ビジョンの画面いっぱいに映し出された完成したばかりの美しいコロニー。
整備された住居、緑の溢れる公園。整った空調設備。
核の炎が嘗め尽くした、この地球では、二度と甦る事のない美しい自然。
政府はそれらを無償で提供すると言う。
より安全で、管理された組織へと。
だが、それもいつまで続くのだろう。
造りものの自然は、いつまで美しいままだろう。
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