百鬼夜行の主


―翌日


「ん…」

私はゆっくりと目を覚ました。


まだ完全に覚醒しきっていない頭であたりを見渡す。―そこが自分の部屋と理解し、自分の服を見た。


…?私は自分の服がパジャマに変わっていることに気づく…いやいやいやいやいや!!ちょっと待て!

確か昨日私は制服のまま夕食も食べずにうたた寝して寝てしまったはずだ!なのに何故私は制服からパジャマになっている!?

私は再びあたりを見渡す。よく見るとハンガ―ラックには私の制服が皺ひとつない状態で干されている。


私はパジャマ姿のままリビングに行った。


「あ、おはようございます。主様」

そこには黒髪に秀麗な顔立ちの男―鬼灯がいた。鬼灯は白のワイシャツにジーンズという格好にエプロンという家庭的な男の見本のような格好をし、朝食を作っていた。


「あ…うん、おはよう」


再び、動悸が起きる。鬼灯はそんなことも知らず、私に挨拶をしたらすぐフライパンに眼をやった。どうやら今日の朝食は和風みたいだ。


私はテーブルに置いてある新聞を開き、椅子に座る。天気予報を横目にじっと鬼灯を見る。


…私のエプロン


鬼灯は深い青色のギンガムチェックのカフェエプロンをしている。少し丈が短いみたいだが、そこそこ似合っているため問題はないだろう。

私は一度部屋に戻り、着替えを始める。


いつもはジャージだが、今は夏―私は半そでのパーカーにショートパンツという格好に着替えた。


着替えが終わり、リビングへ行くとちょうど朝食がテーブルに並べられていた。


「主様、朝食が出来上がりましたよ」


「…有り難う」


私は椅子に座り、手を合わせる。鬼灯も同様に手を合わせ、朝食を食べ始めた。



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