KISS

「もしかしてその子、月島?」


木之下が嘲笑するようにあたしに近づいてくる。


「・・・まだ付き纏ってるの?幼なじみサン?」


あたしにさか聞こえないように耳元で声を落とす。


「久しぶり〜、元気してたあ?また遊んだりしよーよ」


・・・木之下って巧のこと、まだ好きなんだ。


巧、は・・・?


「あたしと巧、月島ちゃんと月島ちゃんの彼氏とかさ♪」


・・・はあ!?


「そーしよっ!巧、久しぶりに会ったんだし一緒に帰ろ♪」


ちょ・・・っ


ちょっと待て!


彼氏とかいないんですけど!


巧が一瞬驚いたようにあたしを見たあと、納得したようにあたしに微笑んだ。


「・・・だから、か」


『だから俺には全部はあげられないわけか』


そういう意味が、こもってた。
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