KISS

「あっ、あたし忘れ物取りに来たんだったあ!巧、門で待ってて!」


そう言って木之下は短いスカートで走っていった。


・・・あたしもあれくらいした方がいいのかな。


って何考えてるのあたし!


「悪いな」


巧が本当に悪そうにあたしに言った。


「彼氏いたんだ?」


・・・いないのに、否定しないのは。


巧の手を離すって決めたから。


「何か言えよ」


気づいたら巧の瞳がすぐそこまで来ていた。


逃れられない。


「えみ?」


熱い手が、あたしの顎を優しく掴んで持ち上げる。


「・・・離して」


やっと言えたのはそれだけで。
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