砂漠の水車
だがしかし、たった5人で乗り込んでくる度胸は決して無鉄砲なものではなく。
「……ありゃ?」
刃が止まった感触が、人間の肉ではないと解り、些か首を傾げて砂嵐の中のそれを確かめようと目をこらした。
そして。
「ぎゃわぁぁああっ!!」
片方が派手に悲鳴をあげた。
砂嵐が吹き飛んだかと思うと、目の前が閃光が走ったかのように真っ赤に染まり、続いて右腕に焼けつくような痛みが走った。
しっかり地に足をついていた筈なのに、斜め45°の角度で宙に吹っ飛ばされる。
「いちいち喧しい」
苛ついた感情を剥き出しにした冷たい口調で、ジンはソーセージのごとくむちむちに膨らんだ巨体を睨んだ。
あっ、余談だが、彼が一番嫌いな外見をしている。
ノースリーブと短パンから伸びる四肢は、脂ぎった汗でどろどろ、口からは粘着質のある液体が漏れているし、腫れぼったい目は肉に隠れて見えない。
視界に止めたくもない醜い容姿は、ジンと正反対である。
「主、お怪我は」
「ない」
同じく敵を退けたレインは、背中合わせに明らかに乱れているジンの戦意を悟っていた。
やはり慣れない灼熱の土地で、彼の反応はいくらか鈍っている。
見なくとも、固めが砂にやられたのが分かった。