砂漠の水車


――…ご機嫌斜めだ、悪い意味で。


この場合、悪い意味でとは戦意喪失していることをいい、良い意味でとは対抗心が燃えていることをいう。


今の隊長は明らかに前者。


あんなだぶだぶボディに目をやられたのが悔しくて、地球を一周して戦意喪失に至ったらしいのだ。



「……ゲゲゲゲ、お前ら、よくもあの砂嵐の中おれだぢの剣をよげだなぁ、ほめでやるぜ、ガギ」


「おいおい、笑いかた変わってるじゃないか、キャラは最後まで通せよな、ってか濁点多いな」



あ、ほら、妙にツッコミに努めるあたりが戦意喪失の顕著な表れである。


こんなアホっぽいの相手にしたくねぇのだ。



「隠れるのが随分下手なようですね。
お二人とも息遣いが荒いし足音は丸聞こえ、殺気もムンムンで、それでは気付いてくれよと寂しがる影の薄い引っ込み思案な教室のいじめられっ子ですね」



例えが細かいのは置いておいて、勘違い、と言いながら実は気づいていたとレインは言う。



「そりゃー仕方ねぇや、おれだぢ目立ちだがりやだがらよぅ」


「それって戦う人間としてどうなの、しかも暗殺者が」



ますますアホの子だとわかるとジンのやる気はぐんぐん下がる。



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