砂漠の水車
『返事がない、ただの屍のようだ』
『勝手に屍にしてんじゃねえよ』
スピーカーの向こうでヒツギが突っ込んでいる。
アルファに関しては言いたかっただけであろう、えへへーという照れ笑いがやけにふざけて聞こえた。
『まー冗談はともかくとして、ジンくんたちが無闇に暴れるわけありませんから、なにかしら奇襲を受けたんでしょう。
どのみちさっきみたいな騒ぎを起こすほどの何かしらがいるということで』
「…見に、行くか?」
『いえ、わざわざ外から回っていくのも面倒です。
一応は任せましょう』
さすがは副隊長を任されるだけあって、あの程度ではびくともしない精神の持ち主である。
多少感心したあと、なにかしら文句を言うヒツギの声がした。
動きたがりが反論しているのだろうが、アルファの判断に異論は無いと思える。
『取り敢えずグレン、一人は君だけですから、用心してくださいね』
「…ああ」
『7隊が揃っている時に限って大怪我するようなことはないと思いますけど…一応、君に大怪我されたらジンくんが困りますから』
「……ああ、そうだな…そういう意味か」
一瞬なんのことかと戸惑ったが、なるほど、確かにグレンが入院するようなことがあればその尻拭いはジンに回される。
「…問題ない、平気だ」
『気をつけて』