砂漠の水車


「行くぞ」


「…くそっ、君に指示されるとすごーくプライドが傷つくんですけど」


「ガキに使われる俺のプライドはとっくにズタズタだから気にしなくてもいいんでねえの」



ヒツギは天井に吊るされてあるランプに手を伸ばして、固定されている金具を回した。


かなり簡単な造りで、壁にとっ付けてある金具との付け根をくるくる回せばあっさり取れてしまう。



「いいなあ、背え高くて」


「俺にはこれもコンプレックスの一つだったがな」



東洋では170センチ弱が一般的。


ヒツギは頭ひとつ飛び出る長身である。



手に入れたランプを手に、二人は暗い煉瓦の通り道を進む。


内側から吹きこんでくる風は生温かく、まるで人間かなにかの吐息のように、なんとなくにおいもする。




「気持ちの悪い風ですね…」



「…………」




人のにおいがする。


『傍にいる』という感覚とは別に、でもなんだか遠くはないような不思議な感覚をしている。




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