アカイトリ
陽光が次第に強くなり、庭園の真っ只中に天花は立ち尽くした。
颯太を見つめながら。
何事が起きるのかと最初は首をかしげていた颯太だったが、気付いた。
「天花…お前…人のままだ…」
天花は穏やかな空に視線を移し、大きく深呼吸をして颯太に左腕の腕輪を見せる。
「人のままでいられる腕輪だ。凪が…くれた」
さくり、と草を踏み分け、颯太が近付いてきた。
どんな顔をしているだろうか?
喜んで、くれるだろうか…?
――少し高い位置にある颯太の顔を見ると、まさに、花が開花するという表現が合うような笑顔で颯太が天花に思いきり抱きついた。
「すごいぞ!天花、人のままだ!」
「あ、おい…っ」
勢いあまり、そのままどぼんと池に二人で落下した。
慌てて逃げてゆく魚たち――
全身びしょ濡れになりながらも、颯太の歓喜の声は止まない。
「これを凪が?あいつ…さすがは黒い鳥の子。邪法に明るいとは聞いていたが、まさかこんな…」
喜びと陽光に包まれ、天花の瞳には、颯太の全身がまるで輝いているかのように見えた。
「あれで実は根は良い奴なんだ。そう邪険にしてやるなよ。俺が亡き後は共に生きるのだ。分かり合って、できるならば他の神の鳥を捜して伝えていってくれ」
「…」
沈黙で答えるしかなかった。
「…お前が死んだ後のことは考えたくない」
怒りまじりに吐き出すように言うと、颯太は金の髪をかきあげながら背中から抱きしめてきた。
「天花、考えるんだ。人の温かさに触れた以上、独りに戻るのは嫌だろう?」
死を受け入れている颯太の魂を、どうにかしてこの身体に繋ぎ留めておきたい――…
その方法を、凪は知っているだろうか…?
――くしゅん、と小さくくしゃみをした天花の身体を颯太は軽々と抱き上げると、池から出た。
「風呂に入れてやる。このままでは風邪を引くぞ」
…ただ、その首に両腕を絡ませて颯太から顔が見えないように天花は俯いた。
颯太を見つめながら。
何事が起きるのかと最初は首をかしげていた颯太だったが、気付いた。
「天花…お前…人のままだ…」
天花は穏やかな空に視線を移し、大きく深呼吸をして颯太に左腕の腕輪を見せる。
「人のままでいられる腕輪だ。凪が…くれた」
さくり、と草を踏み分け、颯太が近付いてきた。
どんな顔をしているだろうか?
喜んで、くれるだろうか…?
――少し高い位置にある颯太の顔を見ると、まさに、花が開花するという表現が合うような笑顔で颯太が天花に思いきり抱きついた。
「すごいぞ!天花、人のままだ!」
「あ、おい…っ」
勢いあまり、そのままどぼんと池に二人で落下した。
慌てて逃げてゆく魚たち――
全身びしょ濡れになりながらも、颯太の歓喜の声は止まない。
「これを凪が?あいつ…さすがは黒い鳥の子。邪法に明るいとは聞いていたが、まさかこんな…」
喜びと陽光に包まれ、天花の瞳には、颯太の全身がまるで輝いているかのように見えた。
「あれで実は根は良い奴なんだ。そう邪険にしてやるなよ。俺が亡き後は共に生きるのだ。分かり合って、できるならば他の神の鳥を捜して伝えていってくれ」
「…」
沈黙で答えるしかなかった。
「…お前が死んだ後のことは考えたくない」
怒りまじりに吐き出すように言うと、颯太は金の髪をかきあげながら背中から抱きしめてきた。
「天花、考えるんだ。人の温かさに触れた以上、独りに戻るのは嫌だろう?」
死を受け入れている颯太の魂を、どうにかしてこの身体に繋ぎ留めておきたい――…
その方法を、凪は知っているだろうか…?
――くしゅん、と小さくくしゃみをした天花の身体を颯太は軽々と抱き上げると、池から出た。
「風呂に入れてやる。このままでは風邪を引くぞ」
…ただ、その首に両腕を絡ませて颯太から顔が見えないように天花は俯いた。