アカイトリ
膝に乗ったまま、薄暗い部屋で菖蒲はどんどん着物を脱ぎ出した。
「菖蒲、俺は…」
「女を囲っているのでしょう?先程申し上げた通り、わたくしはあなたを抱きに来たの」
唇を重ねてくる手練手管な菖蒲。
「…愛している女がいるんだ」
「わかっておりますわ。けれど…うまくいっていないのでしょう?」
見破られ、颯太は瞳を丸くする。
動けないでいると、それをいいことに颯太の浴衣に手をかけた。
「お抱きになったの?」
「…いや」
「ふふ…あなたらしくもない。では…」
脱ぎ散らかした着物の中から、帯紐を取り出し、それで颯太の両目を隠して結んだ。
「わたくしを、その抱きたい女とお思いになって」
「菖蒲…何故…」
「申し上げた通り、わたくしはあなたを抱きたいの。その女の名を呼んでも構わなくてよ」
手を導かれた先には菖蒲の天花に引けをとらない細く豊かな身体。
もう片手は菖蒲の腰へ。
「さあ、颯太様…」
――身体が重なった。
ぞくりと快感が襲ってくる。
「菖蒲…いいのか…?俺はもう愛する女を決めたのに」
「ええ、いいの。わたくしとあなただけの秘め事ですわ、よ…」
これは天花。
今俺は、天花を抱いている――
そう強く念じると、菖蒲が天花に思えてきた。
菖蒲の身体を天花と重ね合わせ、颯太は犯してはならない罪を犯したような気分になった。
「颯太、様…!」
「…颯太、と…呼んでくれ…」
天花に呼んでほしい名。
――間違った遊戯。
間違ってはいても、天花を抱きたい思いは遂げることができない――…
「颯太…っ!」
本当は、天花にそう言ってもらいたい。
甘く鳴いてほしい。
「天花…天花…!」
猛る思いは、底なし沼のようで――
目隠しをされたことにより、敏感さは増し、本当に天花を抱いている気分になった。
重なる身体――
留まることを知らない欲望…
こんなの、間違っている――
わかっていても、避けられなかった。
――その様子を、少し開いた障子から天花が口許を両手で覆って見ていた――
「菖蒲、俺は…」
「女を囲っているのでしょう?先程申し上げた通り、わたくしはあなたを抱きに来たの」
唇を重ねてくる手練手管な菖蒲。
「…愛している女がいるんだ」
「わかっておりますわ。けれど…うまくいっていないのでしょう?」
見破られ、颯太は瞳を丸くする。
動けないでいると、それをいいことに颯太の浴衣に手をかけた。
「お抱きになったの?」
「…いや」
「ふふ…あなたらしくもない。では…」
脱ぎ散らかした着物の中から、帯紐を取り出し、それで颯太の両目を隠して結んだ。
「わたくしを、その抱きたい女とお思いになって」
「菖蒲…何故…」
「申し上げた通り、わたくしはあなたを抱きたいの。その女の名を呼んでも構わなくてよ」
手を導かれた先には菖蒲の天花に引けをとらない細く豊かな身体。
もう片手は菖蒲の腰へ。
「さあ、颯太様…」
――身体が重なった。
ぞくりと快感が襲ってくる。
「菖蒲…いいのか…?俺はもう愛する女を決めたのに」
「ええ、いいの。わたくしとあなただけの秘め事ですわ、よ…」
これは天花。
今俺は、天花を抱いている――
そう強く念じると、菖蒲が天花に思えてきた。
菖蒲の身体を天花と重ね合わせ、颯太は犯してはならない罪を犯したような気分になった。
「颯太、様…!」
「…颯太、と…呼んでくれ…」
天花に呼んでほしい名。
――間違った遊戯。
間違ってはいても、天花を抱きたい思いは遂げることができない――…
「颯太…っ!」
本当は、天花にそう言ってもらいたい。
甘く鳴いてほしい。
「天花…天花…!」
猛る思いは、底なし沼のようで――
目隠しをされたことにより、敏感さは増し、本当に天花を抱いている気分になった。
重なる身体――
留まることを知らない欲望…
こんなの、間違っている――
わかっていても、避けられなかった。
――その様子を、少し開いた障子から天花が口許を両手で覆って見ていた――