もしも君が助けてくれたら
「おっと、ごめんね」

狩谷は少し相手と数分話した後、携帯を閉じ、俺を見据えて言った。

「今から仕事なんだ。そこ、のいてくれるかな?」

俺は頑として動かない。

見かねた母さんが俺の腕を引っ張った。

「あぁ、ありがとう。佐和子さん。じゃ、また来るよ」

そう飄々と言いのけて狩谷は出ていった。

玄関を睨みながら俺は聞いた。

「あいつ、何しに来たんだ?っていうか、母さんどこでアイツと知り合ったの?」

母さんはため息をついた。

「父さんの、会社のパーティの時に、特別参加されて、出会ったの。それからは・・・・」

それから?

それからなんてあってたまるか。

けど、俺の期待を母さんは粉々に壊した。

「あの人とは、父さんにも内緒の特別な関係よ・・・」

俺は母さんの腕を払いのけ、階段を駆け足で上った。

「輝!!!!!」
そう叫んだ声も、俺には聞こえなかった。
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