もしも君が助けてくれたら
夏が曉と会ったその日の夜、お父さんが家に帰ってきた。

「お父さん・・・」

どうしたの?と聞く前に、お父さんがズカズカと大胆に家に乗り込んできた。

そして、夏と私を呼ぶと、パンッと派手な音をたてて私と夏を順番に叩いた。

私と夏は呆然と自分の右頬を押さえることしか出来なかった。

「・・・何?」

驚きで声を出せない私に変わって夏がお父さんに訪ねた。

お父さんは冷淡な笑みを浮かべてこちらを見下げた。

「お前等、俺のこと言い触らしたな」

お父さんのことを言い触らした・・・?

「ちょっと待ってよ。私たち秀と奈々ちゃんにしか言ってないよ!」

すると、夏が口を挟んだ。

「いや、曉も知ってる」

何で、曉が・・・?

唖然とする私をよそに夏は堂々とお父さんに向かって言った。

「何で帰ってきたの?母さんは病院だけど」

すると、お父さんは大袈裟にため息をついた。

「これだから子供っつーのは嫌いなんだよなー・・・。何かと苛つく。仕事で疲れてるっつーのに、茶の一つも出してくれねぇのかよ」

「あんたに出す必要ねぇだろ?母さん捨てたくせによく言うよ」

夏はお母さんとお父さんが離婚する前から少しお父さんを嫌っていた。

それは私もそうだったけど、夏のほうが多分嫌っていたと思う。

だってお父さんは・・・。

「ははは!その目、その目が俺は気に入らないんだよ。育てた父親に対してその目。金だってあげてるっつーのによぉ、ほんっと親孝行できねぇのかねぇ」

「よく言うよ。あんたが母さん捨ててから俺があんたをどれほど憎んだか分かる目だろ?」

すると、お父さんがそばにあった花瓶を取り上げ、花を取り出し、危険を感じたときにはもう、花瓶の中の水を私たち二人にぶちまけてきていた。

突然のことで、ゲホッ、ゲホッとせき込んでしまった私たちにその上お父さんはその花瓶で夏の背中を殴った。

「・・・ぅぐっ!!」

夏が呻き、前のりに倒れたところをお父さんが腹を殴り、そしてそのまた前足をひっかけ夏を派手に転ばせた。

強く頭を打ったのか、夏は後頭部を押さえ呻いた。

「・・・お父さん!やめてっ!!!」

私が夏の前にでると、お父さんがニコニコと笑いながらゆっくりと話しかけてくる。
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