もしも君が助けてくれたら
「お父さんやめてぇぇぇぇぇ!!!」

そう叫んでお父さんに突っかかった私の首をお父さんが掴みあげた。

また、同じことを思い出した。

昔、小さい頃にもよくこんなことがあった気がする。

苦しくなる息に重くなっていく体に意識がだんだんと薄くなっている。

「・・・曉、助けてくれ・・・」

そんな中、夏の声が聞こえた。

曉・・・・、曉って誰だっけ。

あぁ、あの転入生か。

興味がなかったけど、ちょっと興味が出てきた人だっけ。

そうだ。

弓道が上手だった。

お父さんが私の首を掴んだまま夏の顔を足で蹴った。

その衝撃で夏の手から携帯電話がカシャァーンと軽い音を立てて落ちた。

「余計なことするな」

お父さんの冷たい声がする。

夏を、助けないと・・・。

お母さんから言われてるんだ・・・。

夏を、助けないと・・・。

私は衝動的にお父さんの手に噛みついた。

「・・・いっつ!!」

お父さんが顔をしかめ、私の首から手を離した。

放り出された私は地面に顔をぶつけ、せき込んだ。

あの状況から抜け出されたことと、夏を蹴る足がなくなったことだけが幸いだった。

けど・・・。

「いい加減にしろよてめぇらぁ!!!」

お父さんがそう叫ぶと、顔やら腹やら手やら足やらを思い切り踏まれた。

あぁ、痛い。

ただ、無情にそう思った。

けど、慣れているような自分もいる。

馬鹿みたいだ。

こんなことして生きるしかない自分も、父親も、何もかもが。
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