もしも君が助けてくれたら
夏をみると、さっきお父さんに顔が蹴られたのが原因なのか、気を失ってしまっていた。

私の意識もだんだんと失ってきた。

前はここで二人とも気絶したんだっけ。

起きたのが昼過ぎで、学校からの電話に気がつかなかったことがあったような気がする。

走馬燈のように流れる昔の光景に微苦笑を浮かべた。

その時、玄関の扉が派手な音をたてて開かれ、ドカドカと走ってくる音がして、それで、その音が止まったと同時に私を蹴る足も止まった。

「はは・・・、何で曉が来てんの」

私が微苦笑を浮かべたまま床を見つめたままそう呟いた。

入ってきた人が曉だとは限らないけど、曉だと思った。

直感的に。

というか、私、今そうだと思いたかったのかもしれない。

「夏が来いっつったから。ただ事じゃないと思ってたけどまさか、だな・・・」

私の家のこと知ってるくせに知らないふりをしている曉に微苦笑から苦笑が生まれた。

「ほんと、馬鹿みたい・・・」

曉も馬鹿だ。

たかがこんなことでここに来なくてもいいじゃないか。

しかも、隣の席の奴の弟のためだけに。

すると、曉が座り込み、私の頬を撫でた。

「俺は馬鹿だからな」

その手の冷たさが、気持ちよかった。

「・・・おまえっ!!また来たのか!!」

・・・・また?

「ここまでくるとくされ縁か?」

・・・・この二人は何を言ってるんだろうか。

まるで二人がもう会っていたかのようだ。

「くそっ!!」

お父さんはそう言って舌打ちをし、私たちの横を急ぎ足で通り過ぎていった。

そして、玄関の先で私に言った。

「金はつぎ込んでやる。いいか、このことは絶対言うなよ。ま、お前等が言っても誰も信じないだろうけどな」

ハッとあざ笑うかのような声が耳障りだった。
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