終わらないエンドロール
麻里乃はその場に座り込もうとしたが、出来なかった。
体が動かなかった。
舞子が立っているからだ。
舞子が後ろを向いてドアに向かって歩き始めると、麻里乃もそうしなければいけない。
ドアノブに手をかけて少し開いたところで止まると、舞子は振り返った。
自動的に麻里乃も振り返る形になる。
舞子が微笑むと、麻里乃も微笑まなければいけない。
微笑まざるを得ないのだ。
「行ってきます、麻里乃」
「いってらっしゃい、舞子」
舞子が麻里乃に手を振る。
手が勝手に動き、麻里乃も舞子に向かって手を振った。