略奪愛の結末
傷も癒えはじめ 自由に病院内を歩けるようにまで
回復してきた。

私は 同じフロアーにある産科の
新生児室に毎日通った。


途中 元気な赤ちゃんの泣き声や
新米母たちの 幸せそうな声

何より希望に満ちた病棟で元気をもらえた。

私がもう自分の子を抱くことはできないけれど
生まれてきた子を見るのが楽しみだった。

いつまでもくよくよしていられない。
いつかマリが 元気な赤ちゃんを
抱かせてくれるだろうその日を 楽しみに生きて行こう。


売店で買い物をしていると

「道下……さん?」と声をかけられた。

振り向くと 以前同じ会社の上司だった。

「あ…おひさしぶりです。こんなところで…。」

私はガウンを握り締めた。

「ここに入院してるんだ。」

上司はずいぶん太ってしまっていた。

「はい 体調が悪くて……。田中さんは……
お見舞いか何かですか?」

私が言うと 上司が少し複雑な表情をして

「社長が入院してるんだ。
覚えてる?今井社長……。」


まさか・・・・・。


「社長ですか?」何事もなかったように答える。


多分私と 彼との関係は誰にも知られてないはず。
まさかここに入院してるの?

心臓が激しく脈打った。 
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