略奪愛の結末
「悪いな。私もなかなか時間が作れないから。」

おじさんの声は優しい声だった。

「ううん。私もマリがいるから……
あまりはしゃいでいられないから……
ちょうどいいのよ。」

「妹思いだね。相変わらず。」

「ええ。マリは私の宝物だから……。」

姉の言葉にキュンとした。

「マリが…独り立ちするまで時間がかかるから…。
あなたのこともゆっくり待ってられるわ。」

「若くて美しい君の 貴重な時間が
無駄になってはと……思いながらも…離れられない。」

「離れるなんて言わないで。
あなたがいたから…私頑張れるの。
わがまま言わないから……。奥様と別れてとか
私のものになってとか…そんなこと言わないわ。
あなたがこうやってたまに 私を抱いてくれる時間を
想像しながら生きていたいの。」

姉がおじさんのスーツに顔をうずめた。

篤朗がいきなり私の手を取って 今来た道を
引き返した。

「篤朗?」

「時間ずらそう。」

握られた手がものすごく痛くて

「痛いよ 篤朗。」と言ったけど

篤朗は怖い顔をして 私をひっぱって歩く。
引きずられながらも 
私は篤朗の後を小走りになってついていく。


見たことのない篤朗の顔だった。



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