略奪愛の結末
布団に入ってからも マリは俺にしがみついていた。

「どうした?」
少しでもいつも通り俺は見せようと必死だった。

「病院からね 家族と来るようにって…。」

「検査結果聞きに?」

「外来の時間じゃない午後からがいいって…
おかしいでしょ?きっと結果よくなかったんだ……。」

そうだよな・・・・
家族と来いとか外来外の時間とか
患者が不安になるのはもっともだと思った。

俺は言葉が見つからず マリを強く抱きしめた。

「どうしたの?今日の篤朗変だよ。」

「俺だって不安になるよ。
そんなこと言ったら……マリがすごく
具合悪そうだし……。」

ありきたりな言葉をかけても大根役者みたいで
俺は心の中の不安を口にした。

「篤朗……心配してくれるの?」

「あたりまえだろ?マリが元気じゃなきゃ
俺と飛勇とどうしたらいい?
もしさ 何か病気でも 治せる病気もたくさんあるんだ。
一緒に頑張ろう。」

言葉の最後で鼻がツーンとした。

「篤朗?」

マリに気づかれた。

「いや…何かマリはいっつも元気だったからさ…。
今日のマリはちょっとショックだった。
初めてじゃん?俺を出迎えなかったの。」

「そうなの…もしかしてわかってくれてたんだ。」

胸の中でマリの声が弾んだ。

わかってるよ。
今までそれが重荷だったこともあったけど……
マリはいつも笑顔で俺を迎えて スーツを片付けていた。


< 266 / 365 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop