略奪愛の結末
人生に期限をつけることができるなんて知らなかった。

たとえば悪い病気でも
「頑張って治療して　治していきましょう。」

そう言ってくれるんだと思っていたのに


マリの命に期限がついた。
そして・・・・頼みの綱の　手術もできないと


俺は何度も深呼吸した。

医者の話は　残された時間　痛みを緩和しながら
悔いのないように生きてくださいみたいな…宣告だった。

「ふざけんな…何で…手術できないんだよ…。
悪いとことれば……治るかもしれないだろ？」

待合室で会計を待つ間　俺はそうつぶやいた。

マリは何も言わない。
きっと俺の何百倍もショックを受けたに違いない。

「逸見　マリさん」

名前を呼ばれて立ち上がった俺は　めまいがした。

「大丈夫？篤朗？」マリが驚いた顔をしている。

何やってんだ俺は・・・・・。

俺がしっかりしないで　どうするんだ。


会計を済ませて　マリの手をとった。

「歩けるか？」

「大丈夫よ。」
マリは笑った。

その笑顔が屈託のない笑顔で　俺は胸が潰されそうだった。

「篤朗の方が大丈夫？」

「ごめん　大丈夫じゃない……。
ぶっ倒れそうだ……。」

マリは俺の手を握って

「ありがとう。」と呟いた。
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