略奪愛の結末
「パパは来たの?」

「うん 来たよ。
おばちゃん見て ビックリしてた。
ちょうど 走ってるとこ。」

「へ~~早いからビックリしてた?」

「さすがだな~って言ってたよ。
おばちゃんが来たら 相変わらず負けず嫌いだねって
言ったら おばちゃんも こういうことではねって。」

ホント 姉が負けず嫌いだなんて
私は知らなかったから

いつも姉は 私に譲ってくれていたんだ。

お風呂に入って
気がつくと テレビの前で飛勇が寝てしまった。


「飛勇 風邪ひくよ。」

抱き上げて重さに落としそうになった。


私はそのままひざまずいて飛勇を抱きしめて泣いた。

もう飛勇すら抱き上げられない母親になっているという
絶望感に 声を殺しながら泣いた。

「ひゆ・・・飛勇・・・ごめんね・・・。
飛勇にしてあげられることが…どんどんなくなってく…。」

その時背中から抱きしめられた。

篤朗の香水の香り

篤朗は何も言わずに飛勇を抱きしめている私を
強く抱きしめている。

首筋が濡れた。

篤朗の涙が私の乾いた肌を濡らしていく。


私たちは泣いていた。
いろんな想いをそれぞれに胸に詰めこんで

「ごめんね・・・・。」
そういうのが やっとだった。
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