略奪愛の結末
これも愛
安らかな寝息のマリを見ている
この寝息が聞こえなくなったとき マリの寝顔が
死に顔見えて怖くなる。


愛してると俺は言った。

気持ちの昂ぶりもあったけれど
自分はマリを愛してると思った。

メグとは違うかもしれない

だけど失いたくないものでもある。

ホスピスはここから車で四時間かかるところだった。
確かに病室から見える風景は圧巻だった。

ここから眺める景色はいろんな表情があって
きっと飽きさせないだろう


だけど……マリを見捨てる気がしてならない。

俺は最後の瞬間までマリを支える準備をしていた。
転勤の話が来たけれど
事情を話して先延ばししてもらった。

両親には支えてもらわないといけないし
転職も考えないといけないなと覚悟した。



転勤先は外国だなんて 俺もついてない。
これが病気前の状態だったら
絶対に行きたかった そのために頑張ってきた。
しかし
飛勇を連れて 父親一人では 新しい土地での生活はできない。
まさか飛勇を置いていくわけにはいかない。

飛勇にはいろいろな体験をさせてやりたいし
見せてやりたいと思う。
だけど自分ひとりでは飛勇にまともな暮らしもさせてやれない。

返事は待ってくれてはいるけれど
断って転職先も探さなければ

飛勇と触れ合えるような 残業が少ないところ

そんなとこないな・・・・。


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