海宝堂〜海の皇女〜
「この野郎っ!」

別の男が今まさに、剣を降り下ろそうとしていた。

ひゅんっ
しかし剣はあっけなく空を切った。

シーファはその場で回転したかと思うと、遠心力を利用して男の左脇腹に拳を打ち込んだ。

「――――ったぁ〜い!」

悲鳴をあげたのはシーファだった。
男は脇腹までしっかり防具で固めていた。

まともに金属製の防具を殴ったとあっては、その痛さも半端ではない。
シーファはぐっと歯をくいしばって痛みを堪えようとした。

「…バカな女だ。
すぐに痛ぇのは手だけじゃなくなる。」

振り下ろされる剣を側転でかわすと、煙が晴れてきた。

「シーファ!」

「大丈夫っ。」

うしろからの心配の声に、シーファはそう答えて、まだ少しじんじんする手を開いたり握ったりした。

さっきちらっと見た感じでは、ガルも1人倒して、後の1人と対峙していた。

シーファは男に向かって走り出した。
男は剣を構えて、シーファを迎え撃つ姿勢だ。

目の前で来た時、剣が振り下ろされる。が、やはりシーファには当たらない。
シーファは上にジャンプし、男の頭に手をつくと、跳び箱のようにぽーんと飛び越した。

「…はぁ?」

男が間抜けた声をあげる。
地面に降り立ったシーファは素早く地面を蹴り、男に体当たりをした。

調度、そこに同じようにガルがはじきとばした男が来て、2人はまともにぶつかった。

「リュートっ!」

「よっしゃ!
いくぜ、ビリビリ〜!」

リュートは待ってましたと雷流を絡み付け、雷を流した。
男達はさっきの2人と同じように焦げて倒れた。
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