海宝堂〜海の皇女〜
驚愕の表情を浮かべる3人にシルフェリアは続ける。

「でも、もうそれも関係ないでしょ?あんた達には。
ただの人間は、楽しく海の上で冒険を続けてればいい!
わざわざ戻ってくるなんて…ほんっとにバカね。」

今の言葉でガルに違和感が生まれた。

自分達は海から上がってはいない、なのに何故今、シルフェリアは『戻ってくる』などという言い方をしたのか…

シルフェリアの目を見る。
いつもの輝きが消えていた。

「リュート、ニーナ、やはりシーファは操られている。」

「そうに決まってる!」

「戻す方法は?」

ガルは安心した。2人はまだシーファを信じてる。
シーファが誰かを傷つける道を選ぶなんて、微塵も思っていなかった。

「戻す方法は…ヌルド、だろうな…
あいつをどうにかすれば…」

「…でも、シーファが簡単にはそうさせてくれなさそうね…」

「シーファ、結構強いしな…変な技使えるようになってるし…」

「とにかく、武器は使うな。シーファを傷つけても意味はない。
隙をついて、ヌルドを捕獲する!」

3人は距離を置いて、シルフェリアに対峙した。

「ほう…やる気ですか?
元はお仲間だったのに…
なんとも儚い友情ですねぇ〜…」

ヌルドが言うとシルフェリアに怒りに顔を歪めた。

「ああやって、シーファを…」

シルフェリアが床を蹴った。
真っ正面から、ガルに拳を振り下ろす。

「――くっ!」

ガルは手のひらで拳を受け止めた。
その隙に、リュートとニーナがヌルドに向かって走り出す。
シルフェリアはガルの手の反動を使って後ろに飛ぶと、2人の前に降り、両手を振る。
水の竜が飛んできて、元の位置まで飛ばされた。

2人はびしょ濡れ。
ガルの手はじんじんと痺れていた。
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