海宝堂〜海の皇女〜
「3人でかかってこないと、勝負にならないよ?
あっさり死んじゃ面白くないし。」

シルフェリアは笑いながら、びしょ濡れの2人が立ち上がるのを待つ。

「…けほっ…シーファ…やめてっ…」

シルフェリアがゆらりと揺れて、ふっと姿がかき消えた。
次の瞬間、ニーナの前に現れ、三発、腹に拳を入れた。
その威力でニーナは壁まで吹っ飛ぶ。

「!!」

ニーナを気にしている余裕なんてなかった。

すでに、ガルのコメカミに蹴りが迫る。

「くっ!」

ガードして、足を掴み、思いっきり突き放す。
シルフェリアはくるくると回転し、床に手をつくと、反動をつけてリュートめがけて飛んだ。

「うわっ!」

リュートはガードしたものの、ニーナとは別方向に吹っ飛ばされた。

シルフェリアは綺麗に着地し、ガルに向かい合った。

火のついたような攻防戦が始まった。

シルフェリアから繰り出される、拳に蹴り、膝に肘、それらを全て、ガルはかわし、受け止めた。

シルフェリアは嬉しそうに攻撃を繰り出し、喋り始める。

「へえっ!ガルがこんなに体術が使えるなんて意外っ。
ガルは料理バカだと思ってたからっ!

ね…?ガル…。」

ふと見せた、いつものシーファの笑顔。
ガルの動きが一瞬止まる。

その隙をついて、シルフェリアの蹴りがまともにガルの腹に入り、壁まで吹っ飛んだ。

三方向からあがる砂塵。
それを見て、シルフェリアはくすくすと笑った。
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