海宝堂〜海の皇女〜
ヌルドは喜びに満ち溢れていた。
念願の神器を今、手にしている。

(なんと美しく、なんと力強い。

正統な後継者でない私が手にしていても、力が満ち溢れてくるようだ。

やっと…長年求めていた物が、この手に!

そして…)

シルフェリアはガルと戦いを繰り広げていた。

と、言っても、最初の一撃のみで攻撃はしていない。
シルフェリアの攻撃をただひたすらに避けている。

(シルフェリア…
お前も20年前に私の物になるはずだった…

美しく強いお前が、親を捨て、仲間を捨て、自分を捨て、この私の為に戦っている。
なんと素晴らしく、喜びに満ちた気分なんだ。)

王の気分に酔いしれるヌルド。ふと、目の端でシルフェリアとガルの戦いの後ろでニーナとリュートが何やら動いているのを捉える。

倒れたセイド達を介抱しているようだ。

(ふん…今更、王と王妃がなんの役に立つ。

愛する娘の変わり果てた姿を見て、戦う気力も失せた腑抜け共が…

20年前、お前達に味あわされた屈辱、シルフェリアを使って晴らしてやるわ!)

セイドとアリアを睨み付けながら、ヌルドはトライデントを強く握り締めた。


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