海宝堂〜海の皇女〜
ドガッ!

シルフェリアの拳が床を割る。
もう部屋の床はぼろぼろだった。


「王様っ!しっかりしてください、王様っ!」

ニーナがセイドを揺り起こす。
リュートはアリアを優しく支えている。

「………う…………私は…?」

「王様っ!…良かった…
大丈夫ですか?」

「お主達……
!!シルフェリアっ!シルフェリアはどう…」

セイドの言葉は途中で飲み込まれた。
目の前で戦っているのは紛れもない自分の娘、シルフェリアだ。

倒れる前、自分達に攻撃を加えたのは間違いなくシルフェリアだった…
信じたくない気持ちが、頭を止める。

「しっかりしてくださいっ!
ガルは…ガルはまだ戦っているんです!
教えてくださいっ!
あれの封印の仕方を!」

ニーナはトライデントを指差した。

ヌルドが持っているトライデントを見て、セイドの顔色がますます悪くなる。

「そんな…まさか…」

「封印は解かれたんです。だから、シーファの力が大幅にアップして…

シーファを止めるために、神器の封印の仕方を教えてくださいっ!」

ニーナが言う。リュートも熱い視線でセイドを見つめる。

2人の姿はボロボロで、戦っているガルも、もう限界寸前だ。

しかし、セイドは悲しげに首を振った。

「…神器の封印には、その時の持ち主である王がそれを望むのが絶対条件だ。

今の持ち主は、シルフェリア…ならば…シルフェリアが望まなければ…封印はできん!」

「そんな…それじゃシーファを元に戻す方法は…」

「ないって事かよっ!」

リュートは悔しそうに床を殴り付けた。
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