海宝堂〜海の皇女〜
「やっぱり…シーファを倒すしかないの？
シーファを倒して、そのあとにヌルドを何とかすれば、シーファにかかった術は…」

「でも、今のシーファには、素手じゃ勝てっこねえ…
武器を使うしか…」

「…シーファに武器を向けるなんて…出来ない…」

「ちくしょうっ！
ここで悩んでても仕方ねぇっ！

ニーナ、王様と王妃様の事、頼んだぜ！」

リュートはアリアを静かに寝かせると、立ち上がってガルとシルフェリアの戦っている場に、飛び込んで行った。


「うぉおおおおっ！
シーファぁああああっ！」

リュートはシルフェリアに突進し、両足を掴んだ。

「リュートっ！」

「くっ…このガキ…」

振りほどこうとするシルフェリアにリュートが必死に食らい付く。

「ガルっ！俺、押さえてるからっ、絶対に離さないからっ、だから、ヌルドの野郎を…っ！」

片方だけ拘束を逃れると、シルフェリアの蹴りが容赦なくリュートを襲う。

しかし、何度蹴られても、何度踏みつけにされても、リュートは決してシルフェリアを離そうとしなかった。
ガルがヌルドの方に走っていく。

「シーファ…っ…こんなことの為に、海に出たのかよっ！？
違うだろっ！
お前が海に出たいと思ったのは…思ったのは…

ちくしょう！思い出せよおっ！」

シルフェリアは蹴るのを止めると、自由になった足を軸に、ボールを蹴るかのように走るガルに向けて振った。

リュートの手は離れ、ガルの後ろから迫る。
ガルは足を止め、リュートを受け止めた。
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