海宝堂〜海の皇女〜
「いてて…悪い、ガル…」
なんとか起き上がり、慌ててガルの上から降りる。
「いや、いい考えだった。
………お前、鞄は?」
リュートの腰にいつもぶら下がっている鞄が丸ごとなくなっていた。
「あれぇ?どこいった…?
あ!」
リュートが腰に手を伸ばし、普段なら鞄があるところを触る、手に鞄の感触はなかったが、視線の先にそれを見つけた。
それは、こちらに近づいてくる、シルフェリアの足元に落ちていた。
「まずい、あの中には雷流が…
それに、大事なもんいっぱい…」
シルフェリアは鞄を持ち上げると、プラプラと揺らした。
「シーファ!返せっ!」
リュートが鞄に手を伸ばす。
しかし、シルフェリアがひょいっと避けて、リュートは勢い余って床に滑り込む。
「くそっ…返せって!」
今までで、一番のスピードだった。
起き上がって伸ばした手が鞄をしっかりと掴む。
「――っ!」
シルフェリアは目を丸くし、鞄を強く引いた。
しかし、リュートは鞄から手を離そうとはしなかった。
鞄の両端を掴んでの引き合い。
「こぉ〜のぉ〜〜〜
かぁ〜えぇ〜せぇ〜っ!」
リュートが渾身の力を込めて引っ張ると、シルフェリアはパッと手を離した。
リュートは派手に後ろにすっ転ぶ。
その時の遠心力で、リュートの鞄から何かが飛び出した。
そして、それはひらひらとシルフェリアの足元に落ちた。
白くて四角い布切れ…
布自体は上等な物で、端には細かな細工がほどこされたレースがついていた。
シルフェリアはなんのためらいもなしにその布切れを踏みつけようとする。
「―――いでっ!」
間一髪、リュートの手が布切れとシルフェリアの足の間に滑り込んだ。
なんとか起き上がり、慌ててガルの上から降りる。
「いや、いい考えだった。
………お前、鞄は?」
リュートの腰にいつもぶら下がっている鞄が丸ごとなくなっていた。
「あれぇ?どこいった…?
あ!」
リュートが腰に手を伸ばし、普段なら鞄があるところを触る、手に鞄の感触はなかったが、視線の先にそれを見つけた。
それは、こちらに近づいてくる、シルフェリアの足元に落ちていた。
「まずい、あの中には雷流が…
それに、大事なもんいっぱい…」
シルフェリアは鞄を持ち上げると、プラプラと揺らした。
「シーファ!返せっ!」
リュートが鞄に手を伸ばす。
しかし、シルフェリアがひょいっと避けて、リュートは勢い余って床に滑り込む。
「くそっ…返せって!」
今までで、一番のスピードだった。
起き上がって伸ばした手が鞄をしっかりと掴む。
「――っ!」
シルフェリアは目を丸くし、鞄を強く引いた。
しかし、リュートは鞄から手を離そうとはしなかった。
鞄の両端を掴んでの引き合い。
「こぉ〜のぉ〜〜〜
かぁ〜えぇ〜せぇ〜っ!」
リュートが渾身の力を込めて引っ張ると、シルフェリアはパッと手を離した。
リュートは派手に後ろにすっ転ぶ。
その時の遠心力で、リュートの鞄から何かが飛び出した。
そして、それはひらひらとシルフェリアの足元に落ちた。
白くて四角い布切れ…
布自体は上等な物で、端には細かな細工がほどこされたレースがついていた。
シルフェリアはなんのためらいもなしにその布切れを踏みつけようとする。
「―――いでっ!」
間一髪、リュートの手が布切れとシルフェリアの足の間に滑り込んだ。