海宝堂〜海の皇女〜
目的地も見えない海に海図も無しに船を出す。その無謀さに言葉がなかった…
当の本人はその危険度の高さに全く気付いていなかった。
船が潮で流されれば、テラカイズどころか、どこにもたどり着くことなく命を落としていたかもしれない。完全に運が良かったとしか言えないのだ。
ニーナはシーファの王女らしからぬ一面に少し不安を感じた。
こうと思ったら後先考えず無茶な行動をしてしまう、そんな一面が、この先、なんらかの事件を起こしそうな気がした。
そうこうしている間にトイス王国は目の前へと近づき、商業用の港へと船を停めた。
「よし!上陸いっちば〜ん!」
リュートが船から飛び降りる。後にガル、シーファ、ニーナと続いた。
シーファは懐かしそうに街を眺めた。
と、前方でリュートが誰かと揉める声がした。
「…ってぇ〜何も叩くことないだろ〜?」
リュートは老人男性と対峙し、杖で叩かれたのだろう、頭を押さえていた。老人はすっかり興奮している様子で怒鳴り声が聞こえてきた。
「うるさい!あそこに船を停めてはいかん!とっとと船を出さんかい!
第一、お前らは何者じゃ!商人にしては時間が遅いし、見たこともない顔じゃ。」
「俺達は世界の海を旅してるんだ。名前は海宝堂!」
「テラカイズからの商人ではないんです。それにここには仕事が目的じゃなくて…」
慌ててニーナが説明に入るが疑いの目は解消されず、船を動かせと迫られる。
なんとか説得を試みるが、しまいには、賊か?と、大声をあげられそうになってしまった。
それを止めたのは、シーファだった。
「ポムじいちゃん!」
シーファが名前を呼ぶと老人は、カッと目を見開いて声がした方を睨み付けた。
「なんじゃ!人の名前を調べよって!一体何が目的じゃ…………………………………シルフェリア様!?」
老人はシーファの顔を見ると、さっきまでの勢いはどこえやら、杖を落として、シーファに近づいていった。
当の本人はその危険度の高さに全く気付いていなかった。
船が潮で流されれば、テラカイズどころか、どこにもたどり着くことなく命を落としていたかもしれない。完全に運が良かったとしか言えないのだ。
ニーナはシーファの王女らしからぬ一面に少し不安を感じた。
こうと思ったら後先考えず無茶な行動をしてしまう、そんな一面が、この先、なんらかの事件を起こしそうな気がした。
そうこうしている間にトイス王国は目の前へと近づき、商業用の港へと船を停めた。
「よし!上陸いっちば〜ん!」
リュートが船から飛び降りる。後にガル、シーファ、ニーナと続いた。
シーファは懐かしそうに街を眺めた。
と、前方でリュートが誰かと揉める声がした。
「…ってぇ〜何も叩くことないだろ〜?」
リュートは老人男性と対峙し、杖で叩かれたのだろう、頭を押さえていた。老人はすっかり興奮している様子で怒鳴り声が聞こえてきた。
「うるさい!あそこに船を停めてはいかん!とっとと船を出さんかい!
第一、お前らは何者じゃ!商人にしては時間が遅いし、見たこともない顔じゃ。」
「俺達は世界の海を旅してるんだ。名前は海宝堂!」
「テラカイズからの商人ではないんです。それにここには仕事が目的じゃなくて…」
慌ててニーナが説明に入るが疑いの目は解消されず、船を動かせと迫られる。
なんとか説得を試みるが、しまいには、賊か?と、大声をあげられそうになってしまった。
それを止めたのは、シーファだった。
「ポムじいちゃん!」
シーファが名前を呼ぶと老人は、カッと目を見開いて声がした方を睨み付けた。
「なんじゃ!人の名前を調べよって!一体何が目的じゃ…………………………………シルフェリア様!?」
老人はシーファの顔を見ると、さっきまでの勢いはどこえやら、杖を落として、シーファに近づいていった。