海宝堂〜海の皇女〜
カイルはシーファの肩を掴み、揺すった。
「どうしてです!何故そんな事を…!」
「カイル…私は父上の血を受け継いではいないのです。だから、王位を受け継ぐ資格がないのです。」
カイルは初めて聞いた真実に後ろによろめいた。
「しかし…父上は!」
「ええ、私に王位を継げと…でも…
カイル、小さい頃からずっと、私は水平線の向こうに行きたかったの。
それは何を言われようと諦めきれない。
ここは私の生きていく場所じゃない。」
カイルは思い出していた。声を掛けられないほどの切ない横顔を…
視線の先に何があったかを…
「カイル、自信を持って。この国を頼みましたよ?」
「姉上っ…そんな…」
カイルの手はシーファの腕を掴むことなく宙をただよった。
(ダメ…早く父上に母上の事を話して国を出ないと…やっと…やっと願いが叶うのに…!)
角を曲がるとシーファを探していたガルにぶつかった。ガルの後ろからリュートとニーナも顔を出す。
「シーファ!やっぱ凄いわ、お前んち。」
「みんな…父上は?」
「部屋で待ってる、戻って話を聞け。」
不安そうな顔をするシーファの背中をニーナが押す。
「大丈夫、全部話したわ。王様、あなたの話しも聞きたいって。」
「ホントに?」
「ええ、そりゃあ熱心に説得したんだから。」
ウインクするニーナにシーファは笑顔を見せると、マーリンの部屋に走っていった。
「…………これでいいのよね?」
ニーナはシーファの背中を見つめて呟いた。
「父上っ!」
「シルフェリア。
すまんな、お前がそんなに国を出たがっていたとは知らずに…」
部屋に飛び込んだシーファをマーリンは優しく抱き締めた。
「父上…申し訳ありません…でも、私はどうしても…」
シーファの目から涙が流れた。
「…もういい。
明日、全てを国民に発表し、正統な血を受け継ぐカイルの戴冠式を行うことにしよう。
これからカイルとリタに話してくる。
カイルが跡を継ぐならば、リタも邪な事を企む事はないだろう。」
「…………はい。」
「さあ、今日は休め。
姉として戴冠式に出席するのが最後の公務だ。」
涙を拭い、シーファはうなずいた。
「どうしてです!何故そんな事を…!」
「カイル…私は父上の血を受け継いではいないのです。だから、王位を受け継ぐ資格がないのです。」
カイルは初めて聞いた真実に後ろによろめいた。
「しかし…父上は!」
「ええ、私に王位を継げと…でも…
カイル、小さい頃からずっと、私は水平線の向こうに行きたかったの。
それは何を言われようと諦めきれない。
ここは私の生きていく場所じゃない。」
カイルは思い出していた。声を掛けられないほどの切ない横顔を…
視線の先に何があったかを…
「カイル、自信を持って。この国を頼みましたよ?」
「姉上っ…そんな…」
カイルの手はシーファの腕を掴むことなく宙をただよった。
(ダメ…早く父上に母上の事を話して国を出ないと…やっと…やっと願いが叶うのに…!)
角を曲がるとシーファを探していたガルにぶつかった。ガルの後ろからリュートとニーナも顔を出す。
「シーファ!やっぱ凄いわ、お前んち。」
「みんな…父上は?」
「部屋で待ってる、戻って話を聞け。」
不安そうな顔をするシーファの背中をニーナが押す。
「大丈夫、全部話したわ。王様、あなたの話しも聞きたいって。」
「ホントに?」
「ええ、そりゃあ熱心に説得したんだから。」
ウインクするニーナにシーファは笑顔を見せると、マーリンの部屋に走っていった。
「…………これでいいのよね?」
ニーナはシーファの背中を見つめて呟いた。
「父上っ!」
「シルフェリア。
すまんな、お前がそんなに国を出たがっていたとは知らずに…」
部屋に飛び込んだシーファをマーリンは優しく抱き締めた。
「父上…申し訳ありません…でも、私はどうしても…」
シーファの目から涙が流れた。
「…もういい。
明日、全てを国民に発表し、正統な血を受け継ぐカイルの戴冠式を行うことにしよう。
これからカイルとリタに話してくる。
カイルが跡を継ぐならば、リタも邪な事を企む事はないだろう。」
「…………はい。」
「さあ、今日は休め。
姉として戴冠式に出席するのが最後の公務だ。」
涙を拭い、シーファはうなずいた。