海宝堂〜海の皇女〜
「シルフェリアを行かせてはならぬっ!止めよっ!」
ドアに向かって走り出したシーファを、マーリンの命とはいえ、戸惑い気味の兵士達が取り囲む。
「やめろ!手を出すんじゃないっ。」
カイルが叫ぶが、王の命令が優先させられるのは当然だ。
「シルフェリア様、お戻りください。」
「ジム…ダメよ、どうしても通らせてもらうわ。」
シーファを取り囲む兵士の中で、シーファの正面に位置していたのは、ポムの息子、ジムだった。
シーファはキッとジムを見据えた。
兵士の誰もが、シーファの実力を知っているが為に、どうしても動きが慎重になった。
「もう一度言います。
お戻りください。
あなたに手荒い真似はしたくない。」
「…返り討ちに合うからかしら?」
20人ほどで取り囲んでいると言うのに、全く余裕のシーファに流石に兵士達はプライドを傷つけられた。
シーファの後ろにいた兵士が飛び掛かる。
シーファはドレスを持ち上げると、高いヒールの靴を飛ばした。
見事に兵士の顔に当たる。
それが火蓋を切り、一斉に飛び掛かった。
前から後ろから右から左から、飛びかかってくる兵士達をシーファはことごとくかわしていった。
その顔に悲しみの色はなく、どこか楽しそうにも見えた。
「くそっ!」
ジムは思わず呟いた。
いくら自分の父が鍛えたとはいえ、子供の頃から知っている女の子に負けるわけにはいかない。
思い切り床を蹴って飛び出すと、両手をシーファに伸ばした。
「なんのぉっ!」
シーファはひらりと身をかわすが、ぐんっとドレスが引っ張られた。
見ると、ジムはしっかりとドレスの裾を握っていた。
「…観念してください、シルフェリア様っ。」
服を引っ張られては、そっちに行くしかなく、ジムの胸にどんっ、と当たる。
しかし、シーファはニッと笑った。
「冗談でしょっ!」
シーファはジムの腰にあった剣を抜き取ると、捕まれているドレスを切り、体を回転させたかと思うと、右肘をジムのコメカミに打ち付けた。
ジムはあっけなくその場に倒れた。
ドアに向かって走り出したシーファを、マーリンの命とはいえ、戸惑い気味の兵士達が取り囲む。
「やめろ!手を出すんじゃないっ。」
カイルが叫ぶが、王の命令が優先させられるのは当然だ。
「シルフェリア様、お戻りください。」
「ジム…ダメよ、どうしても通らせてもらうわ。」
シーファを取り囲む兵士の中で、シーファの正面に位置していたのは、ポムの息子、ジムだった。
シーファはキッとジムを見据えた。
兵士の誰もが、シーファの実力を知っているが為に、どうしても動きが慎重になった。
「もう一度言います。
お戻りください。
あなたに手荒い真似はしたくない。」
「…返り討ちに合うからかしら?」
20人ほどで取り囲んでいると言うのに、全く余裕のシーファに流石に兵士達はプライドを傷つけられた。
シーファの後ろにいた兵士が飛び掛かる。
シーファはドレスを持ち上げると、高いヒールの靴を飛ばした。
見事に兵士の顔に当たる。
それが火蓋を切り、一斉に飛び掛かった。
前から後ろから右から左から、飛びかかってくる兵士達をシーファはことごとくかわしていった。
その顔に悲しみの色はなく、どこか楽しそうにも見えた。
「くそっ!」
ジムは思わず呟いた。
いくら自分の父が鍛えたとはいえ、子供の頃から知っている女の子に負けるわけにはいかない。
思い切り床を蹴って飛び出すと、両手をシーファに伸ばした。
「なんのぉっ!」
シーファはひらりと身をかわすが、ぐんっとドレスが引っ張られた。
見ると、ジムはしっかりとドレスの裾を握っていた。
「…観念してください、シルフェリア様っ。」
服を引っ張られては、そっちに行くしかなく、ジムの胸にどんっ、と当たる。
しかし、シーファはニッと笑った。
「冗談でしょっ!」
シーファはジムの腰にあった剣を抜き取ると、捕まれているドレスを切り、体を回転させたかと思うと、右肘をジムのコメカミに打ち付けた。
ジムはあっけなくその場に倒れた。