昔の男
「あの頃と変わらな香水付けてる。それって、無意識?それとも」


「違う。ただ、気に入ってたから…」




ブンブンと頭を振りながら必死で弁解する私って…



ちっとも成長してない。




その姿に、フフっと彼が笑うのも無理はない。



「ね、そんな赤い顔して言われても説得力ないんだけど?」


「……でも、私…」


「人妻、でしょ?知ってる。オレ、貴方の子のコーチだから」





冷たい言葉とは裏腹に、あの時から変わらない人懐っこい笑顔を見せる。
私の好きだった『エクボ』といっしょに






――もう、逆らえない。
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