機械仕掛けの心の行方
丘の頂上には、既に小さな山が二つ並んでいる。

彼の両親のものだ。

私はその隣に穴を掘り、彼をそっと埋め、山を盛る。

三つの山を前にして、私はただ立ち尽くした。


これで、与えられた仕事は、全てこなしたことになる。


マスターの身の回りの世話。

彼の息子の子守り。



そして、息子に頼まれた、最後の仕事。



言ってしまえば、私のマスターはマスターだけだ。

息子には、私に命令を与えることはできない。

しかし、それでも。

息子の言葉は、私にとって命令に等しい言葉であった。

彼の頼みは、何よりも叶えてやりたいものだった。

それは、『息子の子守り』という命令を拡大解釈した結果だったのだろうか。




違う、と思う。

違うと、思いたい。




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