機械仕掛けの心の行方
ふと空を見上げる。

雲ひとつない、綺麗な空だ。

洗濯物がきっとよく乾くだろう。

けれど、私はそれをする必要がない。

洗濯した服を着る人間がいないのだから。

きっと以前の私なら、それだけを考えて終わっていたのだろう。

しかし今の私は、その空の美しさに、素直に感動を覚えていた。

どこまでも突き抜けるような、包み込むような大きさをもった色。

ああ、マスターも息子も、こんな空が好きだった。

きっとマスターの妻も好きだったに違いない。

何故か、そんなことを思う。
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